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[速報]
正当 な意匠権強化のための意匠保護法主要改正事項 (2025.11.28.)
[ 意匠一部審査手続の改正]
改正前の意匠保護法では、ファッション、アクセサリー、繊維、文具、身の回り品、包装容器、食品、装身具等、流行の変化に敏感な製品意匠の出願人は、一部審査制度により迅速に意匠登録を受けることができた。しかし同制度では
(i) 新規性の実質的審査 (ii) 先出願に対する先行意匠調査 は行われなかったためしばしば悪用され、過去に公知または取消された意匠が再登録され、正当な権利者の権利に不当に対抗するなどの権利の濫用を招き、明白な拒絶理由が存在する場合でもこれを拒絶できない等の問題があった。そのため改正意匠保護法は第62条第 5項を新設し、第三者からの情報提供がなくても、(i) 新規性がないか (ii) 先願主義に違反した意匠に対しては、審査官が職権により一部審査出願を拒絶できるように明示した。これにより一部審査制度の質が向上して不正出願を抑制し、弱い又は不正不法な意匠権利の濫用が未然に防止されものと期待されている。
[異議申立期間の延長]
現行意匠保護法第 68条第1 項によれば、誰もが意匠一部審査登録の公告日から3ヶ月以内に限り異議申立をすることができたが、実務上この期間が短く異議申立制度の有効活用を制限的にしていた。そのため改正法では、侵害通知 (書面警告や訴状、又はオープンマーケットから権利侵害申告に対する疎明要請を受けた場合等) を受けとった場合には、当事者は当初の3ヶ月の期間が経過していたとしても、侵害通知を受け取った日から 3ヶ月以内に追加して異議申立できるようにした。ただし、異議申立は登録公告日から1 年以内に行わねばならず、1年が経過した場合には無効審判を請求しなければならない。
[ 意匠権移 転請求制度導入]
現行意匠保護法では、無権利者が意匠を不正に使用する等して登録を受けた場合、正当な権利者はその権利を無効にした上で改めて出願して登録を受けなければならなかったので時間と費用の両面に負担があった。そのため改正意匠保護法は、第 96条の2 を新設し、正当な意匠権利者は無効審判請求や再出願なしに、法院に該当意匠登録の移転を直接請求できるようにした。これは特許法上の特許移転請求制度と同一な手続きであり、移転前に既に該当意匠を使用中だった善意の第三者には通常実施権を認めることで、正当な意匠権利者の権利回復を早めるとともに、既存使用者に対する公正な保護も確保している。
上記のような意匠保護法の改正により、現行制度の不備を改善して不法な意匠権利の濫用を防止し、真正な創作者が安心して意匠権利を効率的に確保・行使できる環境が整備されることが期待されている。
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