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26-07-22
韓国特許法は、医薬品特許について、食品医薬品安全処の品目許可を受けるまでの期間は当該特許を実施できない点を考慮し、その存続期間を延長する制度を設けている。延長登録の対象は新物質(薬効を示す活性部分の化学構造が新しい物質)に厳格に制限されており、最初の許可に基づき、1つの特許権につき1回に限り5年以内の範囲で延長することができる。また、延長された特許権の効力は、許可対象物(当該物について特定の用途が定められている場合は、その用途に使用される物)に関する特許発明の実施行為にのみ及ぶものとされている(特許法第95条)。以下では、延長登録の対象となる新物質の範囲及び存続期間が延長された特許権の効力に関する最近の判例について紹介する。
PEG化された化合物は、特許存続期間延長の対象となる新物質に該当しない
アボネックス事件において、特許権者はペグインターフェロンベータ-1a(インターフェロンベータ-1aにポリエチレングリコール(PEG)が結合した形態)を有効成分とする医薬品(以下、「本件医薬品」とする)について品目許可を受けた後、本件特許について存続期間延長登録出願を行った。これに対し韓国特許庁は、本件医薬品と適応症が同一であり、有効成分をインターフェロンベータ-1aとして許可を受けた医薬品(以下、「既許可医薬品」という)が既に存在し、ペグインターフェロンベータ-1aはインターフェロンベータ-1aと治療効果を示す活性部分が同一であるため、延長登録の対象となる新物質には該当しないことを理由に、延長登録出願に対して拒絶決定を下した。これに対し大法院は、それ自体では活性を有しない部分が、既許可医薬品の「薬効を示す活性部分」に結合して医薬品の効能・効果の程度に影響を及ぼす場合であっても、これは医薬品の効能・効果としての「薬効」を示す部分ではないと判断した。そして、本件医薬品の有効成分のうち「薬効を示す活性部分」はペグインターフェロンベータ-1aではなくインターフェロンベータ-1aであり、これは既許可医薬品のインターフェロンベータ-1aと立体的化学構造が同一であるため、本件医薬品は「新物質」ではなく、本件特許発明は存続期間延長の対象発明に該当しないと判断した(大法院2024年7月25日宣告2021フ11070判決)。
化合物の塩、プロドラッグ、溶媒和物にも延長された特許権の効力が及ぶ
ベシケア事件及びフォシーガ事件などにおいて、ジェネリックメーカーがオリジナル医薬品の塩を変更するか、又はオリジナル医薬品のプロドラッグエステル化合物を開発した場合において、大法院は、通常の技術者が容易に選択し得る塩の変更やプロドラッグであり、かつオリジナル医薬品と有効成分、治療効果及び用途が実質的に同一であるならば、延長された特許権の効力はジェネリックメーカーの塩変更化合物及びプロドラッグ化合物にも及ぶと判断した(大法院2019年1月17日宣告2017ダ245798判決、大法院2023年2月2日宣告2022フ10210判決)。
また、リクシアナ事件において、ジェネリックメーカーは、オリジナルメーカーの「トシル酸塩一水和物」を「プロピレングリコール溶媒化物」に変更することにより特許回避を試みた。しかし、特許法院は、通常の技術者がプロピレングリコール溶媒化物への変更を容易に適用し得ること、及びプロピレングリコール溶媒化物がオリジナル医薬品と実質的に同一の治療効果及び用途を示すことから、延長された特許権の効力はプロピレングリコール溶媒化物にも及ぶと判示した(特許法院2024年10月23日宣告2023ホ13438判決)。
延長された特許権の効力は、最初許可の適応症に限定されない
最近のケイキャップ事件において、特許権者は第1適応症(びらん性胃食道逆流症)及び第2適応症(非びらん性胃食道逆流症)について先に品目許可を受け、これに基づき特許存続期間延長登録を受けました。その後、同一製品について第3適応症(胃潰瘍)、第4適応症(ヘリコバクター・ピロリ感染関連の抗生物質併用療法)などについて追加許可を受けた。これに対しジェネリックメーカーは、特許を回避するために第4適応症についてのみ許可を受けて製品を発売し、延長された特許権の効力は初回適応症(第1及び第2適応症)にのみ及ぶと主張した。
しかし特許法院は、延長された特許権の効力は初回適応症に限定されるものではなく、初回適応症と追加された適応症はいずれも「プロトンポンプを阻害する機序を有するカリウム競合型アシッドブロッカー(potassium competitive acid blocker)による胃酸分泌抑制」という治療効果に基づき治療可能な「酸関連疾患」に属し、用途が同一であることから、初回適応症に基づき延長された特許権の効力は、追加された適応症に関するジェネリック医薬品にも及ぶと判断した(特許法院2025年1月23日宣告2024ホ13541判決等)。上記ケイキャップ事件は、大法院がジェネリックメーカーらの上告を棄却したことにより、特許法院の判決が確定した。
以上のとおり、存続期間が延長された特許権の効力は、原則として許可対象物(当該物について特定の用途が定められている場合は、その用途に使用される物)に関する特許発明の実施行為にのみ及ぶものとされている。しかしながら、法院は、存続期間が延長された特許権の効力が、特許発明と文言上完全に同一の化合物及び許可された適応症にのみ限定されるのではなく、実質的に同一の有効成分及び治療効果を有する医薬品にまで及ぶものと拡張解釈することにより、医薬物質特許の効果的な保護を図っていると言える。