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25-07-17
2024年10月31日に宣告された特許法院判決(2023ナ11276)は、故意的な特許侵害行為に対して増額賠償を初めて認めた判例として注目されており、今後類似事案の判断基準の設定にも影響を及ぼすものと予想される。旧特許法(2019年1月8日法律第16208号改正)は、第128条第8項及び第9項により、故意的な特許侵害に対して損害額の最大3倍まで賠償できるようにする増額損害賠償制度を初めて導入した。今回の判決における3つの主要判示事項は次の通りである。
1.旧特許法の施行日(2019年7月9日)前後にわたって侵害が発生した場合であっても、施行日以降の侵害行為に対して増額賠償規定を適用することができると判示した。
2.「故意」の意味と判断基準と関連して特許法院は、特許侵害において故意とは、侵害者が自分の行為により特許権の侵害が発生し得ることを認識しながらも、その行為を継続することを意味すると判示し、これには確定的故意はもちろん未必の故意も含まれると判断した。
3.増額賠償額の算定時における考慮要素について判断した。特許法第128条第9項は、増額賠償の判断時に考慮すべき要素として8つの基準を提示しているが、本判決では次のような事情を挙げて損害額の約2倍に当たる増額賠償を認めた。具体的には、①被告が経済的・取引関係の面で原告に対して優越的地位にあった点、②侵害が確定的故意によるものであった点、③被告が侵害により相当な経済的利益を得た点、④侵害が長期間にわたって繰り返された点、⑤被告の財産状態、⑥被害者救済のための被告の努力が足りなかった点、等が総合的に考慮された。
今回の判決は、韓国で故意的特許侵害に対する懲罰的損害賠償を初めて適用した事例として重要な意義を有し、今後類似事件で、故意性の判断及び賠償額の算定に関連した細部的な法理がより具体化されるものと期待される。