Search
Professionals
25-05-01
最近、ソウル高等法院はアメリカの有名な芸術家マーク・ゴンザレス(Mark Gonzales)が、国内ファッションブランドであるBKAVを相手取って提起した著作権侵害訴訟の控訴審(事件番号:2024ナ2015375)にて、著作財産権侵害及び不正競争行為を認める1審判決を維持し、原告の一部勝訴判決をくだした。
BKAV は2018年、日本のさくらグループを通してマーク・ゴンザレスの商標(MARK GONZALES)及び図案に対するサブライセンスを付与され、同図案と商標を活用して衣類、履物、かばん等の商品を国内で販売し、大きな商業的成功を収めた。
しかし、2021年末、マーク・ゴンザレスとさくらグループ間のライセンス契約が終了した後にも、BKAVはブランド名を “MARK GONZALES” から “What it isNt”に変更して既存の図案と署名をそのまま活用して営業を続けた。これに対し、マーク・ゴンザレスは図案及び署名の無断使用に対し、著作権侵害及び不正競争防止法違反にもとづく侵害禁止訴訟を提起した。
ソウル高等法院の判断
ソウル高等法院は該当図案が原告マーク・ゴンザレスが1996年に創作し、1998年に雑誌及び詩集に挿画として公表した著作物であることを認め、さくらグループはアルバム広報の目的で複製・販売する権限を一時的に有したにすぎず、独立した著作権を取得したということはできず、著作権の譲受または利用許可とはいえないと判断したソウル中央地方法院の判断を維持した。BKAVがさくらグループと再契約を締結し図案を継続して使用した行為に対しては、マーク・ゴンザレスの明示的同意がない以上、著作権侵害に該当すると判断した。
また、ソウル高等法院は BKAV の本件図案と署名の使用は、原告の商品及び営業上の施設または活動と混同させる行為にも該当するため、不正競争防止法違反にも該当するとしたソウル中央地方法院の判断を維持した。
これによりソウル高等法院は BKAV に対し、該当図案及び署名を含む製品の製造・販売・広告・配布の禁止、及び関連物品一切の廃棄命令をくだした。現在本件は被告 BKAV 側の上告により、大法院に係属中だ。
ブランド権利者の立場からみた示唆点
このマーク・ゴンザレス事件は海外IPを活用したライセンス事業にて、事前契約の検討と侵害対応戦略がどれほど重要かを見せてくれる代表的な事例だ。最近、国内ではグルーバルブランドとのライセンス契約にもとづくIP事業が活発に展開されているが、契約終了時点、商標使用範囲、権利帰属等に対する事前検討なしに進める場合、単なる契約違反を越えて商標法、不正競争防止法、著作権法違反になるおそれがある。
特に、サブライセンス構造を含む契約においては、原著作権者との権利関係、使用範囲、契約終了後の権利消滅等が明確に整理されていなければならず、これを契約書に具体的に明示しなければならない。著作権は登録がなくても効力が発生するので、原ライセンス契約の終了時にサブライセンスも自動的に終了するようにする条項や、原著作権者の事前署名同意をサブライセンスの有効条件に設定する条項等を含めることが望ましい。