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20-07-29
特許審判院は最近、は未登録商標ではあるが、国内需要者間にて特定人の商品表示として知られているか、少なくとも一定範囲の需要者に特定出所を表示する識別力のある商標として認識されていると判断した。また、これを模倣して登録した 商標等全10件の商標の使用権者が同商標を のように変形して使用することは、シュプリーム社の
商標と出所の誤認・混同を引き起こすので認められないという理由で、商標登録を取り消す審決をくだした(下記表参考)。この事件にてLee Internationalは、ストリートファッションブランドメーカーであるアメリカのシュプリーム社を代理して 等に取消審判を請求し勝訴した。
シュプリーム社が 等の登録商標に対し、3年以上の不使用を理由に取消審判を請求したのに対し、商標権者は使用資料を提出したが、当該使用資料によれば商標使用権者はTシャツ、ズボンの前面に を付して使用していた。
これに対しLee Internationalでは、使用権者が登録商標を変形し使用することで、シュプリーム社の広く知られたストリートファッションブランド との混同を引き起こしているという主張を追加した。 が特定人の商品表示として認められていることを立証するため、Lee Internationalは1994年から約26年間の使用資料を整理して提出し、さらに国内に売場のない引用商標の国内周知著名性を立証するために、消費者認知度を調査して使用資料として提出した。
特許審判院は、引用商標が未登録商標であるとしても、ブランド価値と名声に対する国内外の言論記事、同種業界での競合的使用と多数の模倣商品の存在、模倣商標に対する多数の異議申立と無効審判請求事実(これもLee Internationalが代理中)、そして消費者認知度調査結果としての高い消費者の認知度等を考慮し、引用商標は国内で特定人の商品表示として知られている、または少なくとも一定範囲の需要者に特定出所を表示する識別力のある商標として認識されていると判断し、本件使用権者の使用はシュプリーム社の商標との出所の誤認を引き起こすと判断した。
本件審判における両当事者間の攻防は熾烈をきわめ、提出された資料の量も膨大なものだったため、審判部も通常の3名ではなく5名に拡大される等、特許審判院が判断に慎重を期した上で、「識別力が多少不足な未登録の使用商標であるとしても、多数の使用資料がある場合、周知性が認められ、不使用取消において引用商標としての地位がある」と判断した点にひじょうに重要な意味があると思われる。